当研究所は、1988(昭和63)年より現在に至るまで、本願寺の法宝物の学術的調査を継続しています。
法宝物には、鏡御影、安城御影、親鸞消息、親鸞伝絵(絵巻)、慕帰絵、三十六人家集など、各展覧会でもおなじみの国宝・重要文化財の法宝物もありますが、それ以外に知られていないものも数多くあります。この調査で、1992(平成4)年に「道綽伝」という親鸞聖人自筆文書を発見するなど、大きな成果を生んでいます。
本願寺の法宝物は日本の文化遺産としても代表するものですが、それは美術品としてのみではなく、歴史文化・仏教・芸術・文学・宗教などの研究にも貴重な品々でもあります。
当研究所は学術的調査を通じ、法宝物の保存と研究に務めています。
当研究所保管文書は本願寺の大仲居(宗務所)に所蔵されていた文書群です。文書群は寺務日記と古文書に大別できます。時代は近世初期文書もありますが、主としては近世中期~幕末・明治初期文書です。これらは約2700箱の文書箱に分類され保管されています。その文書点数は概算20万点以上にのぼります。文書箱の分類は、大遠忌・下向・財政・武家・公家・組織・末寺・別院・各種の寺務日記などとなっています。
現在これら分類された文書群の学術的調査及び目録化を行っています。文書群はほぼ未発表のもので、学術的に今後資料学や近世史研究を大きく前進させる重要なものと考えられます。
全国各地の寺院調査が、『本願寺史』編纂の史資料収集を目的に1956(昭和31)年開始されました。滋賀県彦根市円照寺調査をかわきりに、国内外を問わず調査が行われ、現在も継続しています。
調査と写真撮影を行い、調査のファイルは現在約1100冊、写真カット数十万点を優に超える膨大な量となっています。この数量の地域真宗史資料を揃える研究機関は他にありません。
この調査は新出史資料の発見のみならず、現在すでに散逸した史資料も写真で保存するという有益な成果もあげています。各地域調査により得られた史資料は『本願寺教団史料』として、継続的に刊行しています。